【旅が楽しくなる】『おひとりさまホテル』【ネタバレ】

おひとりさまホテル 漫画

こんにちは。漫画大好き編集者のグルリンゴ(@entame13423)です。

今回ご紹介するのは、まろ/原案 、マキヒロチ/漫画が送る『おひとりさまホテル』1巻です。

マキヒロチさんといえば大ヒット作『いつかティファニーで朝食を』が有名ですが、朝食の次はホテル! この題材選び、完全に吉と出ています。ホテル宿泊といえば、高級料理よりもさらに非日常感をもたらす最高の贅沢。本作を読めば、高級ホテルに泊まる、そんな贅沢をした気分になれちゃいます。新しい一人旅漫画の良作が誕生しました。

そしてなんと言っても、お一人様のプロである「まろ」さんが原案に入っているだけあってホテル解説がめちゃくちゃ面白いです!

グルリンゴについて


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『おひとりさまホテル』1巻(ネタバレ)

個人的星取

4.0 マキヒロチさんとの相性抜群な題材!

Amazon星取

2023年1月21日現在 
☆:4.5
レビュー数:58

作者紹介

漫画/マキヒロチ:第46回小学館新人コミック大賞入選。ビッグコミックスピリッツにてデビュー。リアルな人間模様を描いたストーリー漫画から、時計専門漫画、ギャグエッセイなど幅広いジャンルで活動中。著作に『いつかティファニーで朝食を』『創太郎の出張ぼっちめし』(いずれも新潮社刊)『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』『SKETCHY』などがある。(新潮社公式サイトより)

原案/まろ:1992年東京生まれOL。「ひとり時間の楽しさ」を多くの人に伝えたいと、2017年にひとり時間の過ごし方を提案するメディ『おひとりさま。』を設立。Instagramアカウント(@ohitorigram)のフォロワーは5万人超。ひとりでこそ行きたいお出かけ情報を日々発信し『Hanako.tokyo』では「ひとりホテルのすゝめ」を連載中。ホテルや飲食店とコラボして“ひとり向けプラン”の企画・プロデュースも手掛ける。(新潮社公式サイトより)

あらすじ・概要

「いつも」を「特別に」――設計会社に勤める塩川史香は、ホテルで過ごす「おひとりさま」の時間をとても大切にしている。友人たちもそれぞれホテルに対するこだわりがあって……『いつかティファニーで朝食を』のマキヒロチが描く、ホテルを巡る様々な物語――!!

(新潮社公式サイトより)

感想・ネタバレ

『いつかティファニーで朝食を』の魅力は、数々の美味しそうな「朝食」が登場するのみにありません。

恋愛や対人関係など、ドラマ部分も非常に凝っていて面白いのです。

マキヒロチさん、ガールズスケーターを描く『スケッチャー』や『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』などでも健在のように、題材選びの旨さと、人々の生き生きとした営みや感情描写がとてもうまいです。


今作の題材はホテル。実在する宿泊施設の数々が登場し、特別で非日常な空間を、お一人様が味わい尽くします。

主人公の塩川史香(31歳)は、ホテルを作る会社で企画・PR担当として働く31歳。

「月に1回はいいホテルに泊まる」のが生きがいです。この設定が絶妙。


友人宅に月3万円を支払い居候をしている代わりに、月に1回は高級ホテルに泊まることが(心の余裕として)許されるのです。作中にはそんな「ホテル宿泊が生きがい」の面々が登場し、実在するホテルに泊まり、宿泊によってプライベートな悩みが解消したり、悩みと向き合ったりするーー。というのが本作のプロットになります。

ホテルの解説がとにかく面白い! そのホテルはどんな歴史があって、どんな館内設備で、どんな部屋のデザイン、どんな工夫の凝らされt料理で、どんな素敵なお風呂で……そんな解説がギュギュッと詰め込まれています。このあたりもプロの手腕が光ります。

登場した実在するホテルを見ていきたいと思います。

The Okura Tokyo

日本を代表するホテルが第1話から登場して驚きました。オークラは日本の迎賓館的な立ち位置のホテルで、その名前は歴史や伝統に彩られています。なるほどなるほど、1泊数千円~1万円台レベルの生半可なホテルだけを紹介していくわけではないのだな、とその覚悟に拍手を送りたくなりました。この作品の登場人物たちは、何も高給取りなわけではないのです。身銭を切って、覚悟を決めてホテル宿泊をする。そして心身ともに本気でリフレッシュする。本当のホテル好きの話なのです。

オークラ東京といえば、広々としたあのロビーが有名です。私も訪れたことがありますが、あの優雅でいて伝統を感じさせるロビーは唯一無二です。塩川さんもロビーを見てテンション急上昇。部屋に入ると、その豪奢さと摩天楼が一望できるバスルームに感激。絶対に高いであろうルームサービスを頼み、贅沢の限りを尽くします。だらしない格好で、シャンパン飲みながらU-NEXTでSATCを鑑賞して、寝たら風呂に入って……これを至高と言わずなんという。塩川さんは気になっている元カレのことをちょっと思い浮かべなら、自分の自由さに酔いしれます。

佐原商家町ホテルNIPPONIA

千葉の小江戸・佐原にやってきた塩原さん。VMGが運営する「佐原商家町ホテルNIPPONIA」に宿泊します。街全体に客室が点在する分散型。すべて古民家を改造した部屋。至るところにNIPPONIAの暖簾があります。レストランは元酒蔵、地元の食材を生かした美味しい料理。風呂は離れ。その街の歴史を学び、お一人様の贅沢を噛みしめます。元カレ・しいなを塩原が振った過去が明らかになります。お一人様は最高、の描写の裏にきちんと「誰かに無性に愛されたくなる」姿を描くことで、30代女性の生々しい感情を効果的に演出しています。

白井屋ホテル

第3話の視点人物は、塩原の同僚・森島賢人(30歳)。シロイヤホテルに泊まる予定ですが、どこか浮かない顔。付き合って5年、彼氏と行く予定だったのが、急遽親戚のお葬式で行けなくなったという。その葬式に森島は呼ばれず……。男の恋人は連れていけないっこと?

シロイヤホテル。JINS代表の田中仁が個人の財団で旧:白井屋ホテルを買い取って造りました。展示されているアート作品も田中氏の所有物。藤本壮介の建築、レアンドロ・エルリッヒ(スイミング・プールが有名な彼)が参加しています。

シンプルを極めた空間。檜風呂。窓の外のアート。高崎出身のシェフ・片山ひろが送る逸品の数々。新設のサウナ。恋人と二人で来れたらベストだった。でも、一人だからこそ反省する時間が持てる。関係を見直すきっかけになる。

HOTEL K5

中島若葉(28歳)。なんと週5でホテル生活しています。さすがに土日の宿泊費は高額なため、週末だけは実家に帰ります。インスタで「おひとりさまホテル」運営、フォロワー1万人。面白いのが、中島さんは週末が待ち遠しいのではなく、ホテルに泊まることのできる月曜日のために週末をサバイブしているという点。実家には、結婚や妊娠を進めてくる祖母の存在。嫌な人ではないが、一人で自由になりたいーーー。そんな願望を叶える今回のホテルは、日本橋兜町にある「HOTEL K5」。

余談ですが、2021年のアド街で、兜町が紹介されていました。こんなおしゃれな街になったのかーと驚いたのですが、その放送のときの10位がこの「K5」でした。古い建物をリノベした名店が続々誕生しています。「K5」も、「第一国立銀行」の別館をリノベーションしてホテルにしました。全20室の小規模さが、特別感に繋がっています。

中島さんは、2021年にオープンしたばかりのモダンスリランカレストラン「ホッパーズ」を訪れます。ここがまたオシャレなお店なんですよね、内装も席の配置も。お通しに白湯なんか出てくるハイソなお店です。兜町のホテルなら、何もホテルで食事をとらなくてもいい。選択肢はある、周囲に名店がずらりと揃っている。夕食を終え、ルンルンな気持ちでホテルに帰ります。

なぜホテル暮らしが良いのか。中島さんはこう述べます。

ひとりになりたければ家を借りればいい けど私はホテルで暮らしたい

誰かが人を喜ばせたいという思いでつくった空間に見を委ねていたい

なんと説得力のある言葉でしょう。ホテルの魅力が凝縮された一言だと思います。

日光金谷ホテル

キム・ミンジ(28歳)。歴史のあるホテルが好きなホテル好きの一人。1巻最終話は、まさかの日光。ここでクラシックホテルの横綱・日光金谷ホテルの登場です。著者の切り口の豊富さに痺れます。上品で王道な佇まいのホテル。コレまで取り上げられたおしゃれなホテル空間とは一線を画します。部屋からの眺めも、朝食会場からの眺めも荘厳で素敵です。

以上が1巻に登場したホテルたちです。タイプの異なる、魅力的なホテルが並びました。ホテルに泊まることで己の心身に見返りがある、という設定が作品を進める動力になっています。

『おひとりさまホテル』お得に読む方法

ebookjapanの「初回ログインでもらえる70%OFFクーポン」を使えば、定価660円のところ198円で購入することができます。しかもクーポンは6回利用可能なので、別の漫画をお得に購入することもできます。

終わりに

一人旅マンガとしてもホテル紹介マンガとしても、安定感のある面白さです。コロナによる行動規制が緩和され、旅に出たい人たちも多いはず(私もそうです)。この漫画を読んで旅意欲を高めましょう。

どうも、グルリンゴ(@entame13423)でした。

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漫画や映画などエンタメ作品に取り憑かれた編集者です。

編集歴15年以上。大学卒業後、出版社に就職。雑誌や漫画、ビジネス書などの編集を経験。これまで手掛けた作品は50作以上。

幼少期から本に囲まれる生活を送る。年間の読書量は漫画100冊、書籍30冊程度。映画の鑑賞本数は年間100~200本程度。自分が「これは面白い!」と思った作品を(押し付けがましくないように)人にオススメするのが生きがいで、このブログを始めました。

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