野原広子のオススメ漫画5選!【実際に読んでレビュー】

野原広子 漫画

こんにちは。漫画大好き編集者のグルリンゴ(@entame13423)です。

「野原広子さんの漫画、最近どれも話題だけれど何から読めばいいのかな……」と思っている人はぜひご一読ください!

今回は飛ぶ鳥を落とす勢いの漫画家・野原広子さんの作品のなかでも、特にオススメな5作品を紹介します。以下、早見表です。

作品名おすすめポイント
『娘が学校に行きません』野原広子の原点!不登校の実録!
『離婚してもいいですか』離婚危機に陥っている方は必読!
『消えたママ友』極上のママ友エンターテイメント!
『今朝もあの子の夢を見た』我が子を失う恐怖に怯えている人へ!
『赤い隣人』現時点での著者の最高傑作!
野原広子のオススメ漫画5選

野原作品に関しては、一般に手に入るものは全て読んでいますが、どれも本当に面白いです。

結婚生活、離婚危機、親子・夫婦不和……「家族の関係性」を描写させたら右に出る者はいません。
いつも読み終えると、どうしてこんな共感できる物語が描けるのだろう、と不思議に思います。

グルリンゴについて


★出版社での編集者歴15年以上。漫画、ビジネス書などの編集を経験。
☆年間の読書量は漫画100冊、書籍30冊程度。映画の鑑賞本数は年間150本程度。
Twitterでは最新のお勧めエンタメコンテンツを紹介。
☆「これは面白い!」と思った作品を人にお勧めするのが生きがい。

野原広子のオススメ漫画5選!

『娘が学校に行きません』

【内容紹介】

いまやクラスに数名は不登校児がいる時代。明日はうちの子の番かも・・・? 全国の迷えるお母さんたち、学校に行けない罪悪感の中日々をすごしている子ども達に、読んで、知って、笑って、少しでもラクになってほしい。つまづきから、少しずつ力を得て立ち上がり、やがて学校に通えるようになった娘と、 焦り、戸惑いつつも一緒に歩んだ母との198日間の日々を描いた実録コミックエッセイです。(引用:コミックエッセイ劇場)

【レビュー】

記念すべきデビュー作です。
才能のある人は「デビュー作から面白い」とは言いますが、まさにその通りの一作です。

不登校になってしまった娘が、母や周囲のサポートを経て、198日間かけて学校に通えるようになる、という母娘の成長譚です。なんとこの話、野原さん一家の実話、実録です。

一歩進んで二歩下がる。いや、十歩下がる。気力が復活してきたと思ったらまた落ち込んでしまう。そんなことの繰り返しの中で、母親は娘にとって何が大切なのかを見出し、娘は自分の置かれている状況を時間をかけて整理していきます。そして周囲の教員や友人の支えによって復調の道をたどります。千里の道も一歩から、です。

もし自分の子供が不登校になったら。もし自分が会社に行きたくなくなったら。そんな時、どんなことを考え、何を伝えていけば良いのか。そのヒントが得られます。焦らず、焦らず。真に迫る作品です。読了後、涙が出ました。

近年の野原作品に比べると文字数が多く、少し読みづらい部分はありますが、デビュー作ならではの初々しさがあります。

また、不登校の直接的な原因が描かれていませんが、裏を返せばリアリティがあるとも言えます。直接的な原因があるほうが少ないですから……。

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『離婚してもいいですか』

【内容紹介】

どこにでもある普通の家庭の平凡な妻、翔子。
子どもにも健康にも恵まれ、何一つ不自由はないはずなのに…。
夫との距離が離れ行くばかりの毎日が、積み重なっていくのです。

雑誌レタスクラブで連載され、 多くの女性たちをざわつかせた問題作!
(引用:コミックエッセイ劇場)

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【レビュー】

2014年の作品ですが、いまでも色褪せない傑作です。

離婚したいと願い続けても、離婚するためには幾つもの障壁があります。DVや借金などわかりやすい理由がないと周囲の理解は得づらいですし、収入が片方の労働に偏っていると、なかなか別れることはできません。

本作は、日常の夫婦生活のなかで積もる違和感を題材にしています。この「違和感」を表現するのは難しいです。見方によっては些細なことだから。しかしそこを見抜くのが野原広子さんの真骨頂。完璧なまでに描いています。

わかりやすい不和の理由を描くのではなく……例えば、同じ話を何回も繰り返すとか、脱いだ靴下を伸ばさないとか、怒りやすいとか。ちょっとしたことの積み重ねで疲弊していく妻の気持ちに共感しない人がいるのでしょうか。

反対に、夫側への共感も男女ともあります。読了後、これほど自身の生活を見直すきっかけを与えてくれる作品は他には有りません。少しでも「我が家は離婚危機」と感じる方はご一読をオススメします。

『消えたママ友』

【内容紹介】

優しい旦那さんとお姑さん、かわいいツバサ君に囲まれてキラキラ幸せそうだった有紀ちゃん。そんな有紀ちゃんがある日突然姿を消した。
保育園のママたちの間ではその話題で持ち切り。噂では有紀ちゃんは男を作って逃げたということらしい。
有紀ちゃんとは仲良しだったはずなのに、何も知らなかった春香、ヨリコ、友子。
しかし、みんなそれぞれに思い当たることがあった。
仲良しママ友の嘘の噂を払拭しようとする春香たち。そして、有紀ちゃんがいなくなった訳を探ろうとするが…。

平凡な日常を襲った時間を巡って、ママたちがじわじわと自分たちの闇に気づいていく。これは、あなたの日常にもおこるかもしれない物語。
(引用:コミックエッセイ劇場)

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【レビュー】

野原広子さんのブレイクスルー作品代表作です。読んで損はありません。
今作は第25回手塚治虫文化賞短編賞を受賞し、数多くのメディアでも紹介されました。野原作品で最も売れているのではないでしょうか。

今作は完璧にフィクションに振り切っていて、ミステリー仕立ての作品になっています。その分、エンターテイメントとしての完成度が高いです。

なぜ「あのママ友」は消えたのか。その理由が後半に明かされます。完全に明かされます。グレーゾーンを描く著者にしては珍しく。著者の新境地と言えるでしょう。

また、その「消えたママ友」が掴み取った人生は、きっと誰もの心の奥に潜む欲望を映し出しているものとも言えます。

『今朝もあの子の夢を見た』

【内容紹介】

『妻が口をきいてくれません』(第25回手塚治虫文化賞「短編賞」受賞作)の野原広子が、離婚後の家族に切り込む。大反響のウェブ連載を経て、待望の書籍化。

妻が書き置きのみを残し、娘を連れて家を出た──。
山本タカシ、スーパー勤務、ひとり暮らしの42歳。離婚して10年、当時7歳だった子どもに一度も会えず、元妻とどこに住んでいるかも連絡先もわからない……この家族にいったいなにが起こったのか。
(引用:Amazon 商品紹介ページ)

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【レビュー】

著者がネクステージに移行した一作です。めちゃくちゃ面白いです。

絶賛評が相次いだ『妻が口をきいてくれません』『消えたママ友』と比べて、今作の評価はかなり分かれています。評価ポイントは「妻側の心情をほとんど描写していない」ことの是非です。

著者がエンタメ路線から一度脱却して、誠実にテーマに向き合ったのが本作と言えるでしょう。賛否は分かれるでしょうが、読んで損はありません。

『赤い隣人』

【内容紹介】

小さな息子を連れて、新しい街に引っ越してきた希(のぞみ)。
隣に住む「理想的な家庭」の主婦、千夏(ちか)と家族ぐるみで仲良くなるが、
じわじわと千夏への違和感を感じていく。
おかしいのは私のほう?それとも千夏のほう?

幸せな家族に見えても、心の黒い穴は埋められない。

『消えたママ友』『今朝もあの子の夢を見た』『人生最大の失敗』を描いた
イヤミス・コミックエッセイの第一人者、野原広子最新作、
雑誌レタスクラブ連載に加え描き下ろし64ページオールカラーで構成。
(引用:コミックエッセイ劇場)

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【レビュー】

2023年現在、野原広子作品の最高傑作です。

今作は「自覚のない虐待」を題材にしています。難しい題材です。なぜなら「自覚のない」様子を描くのに相当な筆力が必要だからです。

しかし著者は完璧にやってのけています。いわゆる「イヤミス・コミックエッセイ」(私はこの呼称は好きではないですが)と呼ばれる著者作品の中でも、全てのバランスが取れた一作です。

エンタメとしても面白く、共感度が高く、社会的なテーマやメッセージ性も込められ、喜怒哀楽がストレートに伝わる絵を確立していて読みやすく、物語的な納得度も高い。

終わりに

他にも野原作品でオススメしたい作品はたくさんあります。『人生最大の失敗』なんてめちゃくちゃ面白いですし。それでも、まずはこの5作品を読めば大満足できるラインナップにしました。

以下リンクでは、本ブログにてレビューした野原作品の一覧がまとめられています。

(2023/6/9追記)

野原広子さんの新連載「さいごの恋」がこちらからスタートしています。

46歳独身女性の日常が……こちらも面白いのでぜひ!

どうも、グルリンゴ(@entame13423)でした。

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グルリンゴと申します

漫画や映画などエンタメ作品に取り憑かれた編集者です。

編集歴15年以上。大学卒業後、出版社に就職。雑誌や漫画、ビジネス書などの編集を経験。これまで手掛けた作品は50作以上。

幼少期から本に囲まれる生活を送る。年間の読書量は漫画100冊、書籍30冊程度。映画の鑑賞本数は年間100~200本程度。自分が「これは面白い!」と思った作品を(押し付けがましくないように)人にオススメするのが生きがいで、このブログを始めました。

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