こんにちは。漫画大好き編集者のグルリンゴ(@entame13423)です。
【結果考察2023/9】
ついに2023年8月31日、「次にくるマンガ大賞 2023」の結果が発表されました。
以下順位です。
なんと大賞は『黄泉のツガイ』……ではなく『生徒会にも穴はある!』!!!
個人的な予想としては大賞が『黄泉のツガイ』、次点に『生徒会にも穴はある!』(1位)『暗号学園のいろは』(4位)『龍とカメレオン』(13位)『ダイヤモンドの功罪』(7位)だったので、おしいといえばおしいですが、大賞を外したのがショックでした。
まさかの『一ノ瀬家』が3位ということで、ネットも荒れていましたね……。
しかしジャンプパワー健在ということでしょう。
下の予想記事で書いたように、『生徒会にも穴はある!』はAmazonレビュー数がエグくて、ネットでの話題度は一番でした。
しかし下ネタですし、まさか大賞はないと思っていたのですが……。
(案の定、結果が発表されてもヤフートップに結果は載りませんでした。
「次にくるマンガ大賞大賞に『生徒会にも穴はある!』」とは書けませんからね。)
やはりこの賞の性質としてはっきりしたのは
①ネット人気
②作家人気
③ジャンプ連載作品
が如実に上位にくるということですね。
いやはや、大賞予想は外れましたがまあまあ良い方向性だったのではないでしょうか!
来年も楽しみです。ではでは~。
『ディノサン』や『月出づる~』が20位以内にはいってよかった!!
2023年6月23日に発表された「次にくるマンガ大賞 2023」ノミネート100作品。「コミックス部門」「Webマンガ部門」を合わせて5,170の投票の中から、読者の投票により100作品が(コミックス部門40冊、WEBコミック部門60冊)選ばれました。
今回、候補作全部面白いぞ……。
今回は、「次にくるマンガ大賞 2023」コミック部門のノミネート作品をすべて読んだ上で、各作品のレビューと、大賞を予想していきたいと思います。
本命不在。飛びぬけて上位確実な作品がありません。
この賞は、若手作家の漫画賞というイメージが強いですが、たとえば去年の第2位には『ウィッチウォッチ』(篠原健太)が選ばれたりしているので、どうにも掴めません。
強いて言えば「ジャンプ勢vs掘り出し作品」という構図が目立ちます。
選考結果は8月31日に発表予定とのことです。
各作品ごとのレビューは順次UPし、8月末までには全ての公開を完了する予定です。
早速ですが、まずは私の大賞予想です。
- 「次にくるマンガ大賞 2023」大賞予想
- 総評
- 各作品レビュー
- 赤羽骨子のボディガード
- あそこではたらくムスブさん
- アネモネは熱を帯びる
- 暗号学園のいろは
- 一ノ瀬家の大罪
- 運命の巻戻士
- 踊り場にスカートが鳴る
- カナン様はあくまでチョロい
- 河畔の街のセリーヌ
- 神さまがまちガえる
- 君と綴るうたかた
- 君と悪いことがしたい
- きもちわるいから君がすき
- クプルムの花嫁
- 極楽街
- サツドウ
- 人造人間100
- すだちの魔王城
- 生徒会にも穴はある!
- ダイヤモンドの功罪
- 多聞くん今どっち!?
- 月出づる街の人々
- 紡ぐ乙女と大正の月
- ディノサン
- 転生王女と天才令嬢の魔法革命
- ニラメッコ
- めるめた
- バーサス
- ばっどがーる
- 春と嵐のモンスター
- ブレス
- 平和の国の島崎へ
- マグロちゃんは食べられたい!
- 魔法少女♡三十路
- 帝乃三姉妹は案外、チョロい。
- ヤニねこ
- 雪解けとアガパンサス
- 黄泉のツガイ
- ラストカルテ ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―
- 龍とカメレオン
- 終わりに
「次にくるマンガ大賞 2023」大賞予想
◎=大賞予想 ○=大賞の可能性あり △=上位ランクイン予想
総評
考察① 「次にくるマンガ大賞」の特徴は投票形式。「このマンガがすごい!」「マンガ大賞」のように決められた選考委員がいるわけではなく、ユーザー投票となる。その分、ネット人気が高い作品が上位にくるなど、結果が独特になる。
考察② 基本的に若手作家に与えられる賞のイメージがあるが、固定ファンのついた人気ベテランが上位にくることがある。2022年は第2位に篠原健太、2021年は第6位に松井優征など。今回は何といっても荒川弘がノミネートされている。ファンの圧倒的な多さで『黄泉のツガイ』は上位ランクインは確実か。
考察③ ジャンプの人気作品は上位にランクインする傾向あり。2022年は第2位に『ウィッチウォッチ』、第3位に『あかね噺』。2021年は第一位に『推しの子』。2020年は第1位に『アンデットアンラック』。この傾向からすると、『暗号学園』あたりはかなり強いはず。西尾維新の知名度もある。本誌での連載順位は低いが固定ファンをSNSで増やしている印象。
考察④ 『一ノ瀬家の大罪』は作品評価が割れているため、上位にはこないと予想する。だが、そもそも40作品を読んで投票する人はほとんどいないはずなので、人気作品に票が集まる傾向にはある。そういった意味では『一ノ瀬家~』のランクインもあるかもしれないが……。
考察⑤ SNS人気は『生徒会にも穴はある!』。Amazonレビュー数も1700件超えと、スマッシュヒットとなっている。ただ、『あそこではたらくムスブさん』も同様だが、下ネタ方向の作品は票が割れるというか、少なくなるような気も……。歴代の受賞作を見てもそれははっきりしている。1位というよりは2位、3位で投票されそうな予感。
考察⑥ コミック部門、WEBコミック部門双方に言えることだが、今回は百合漫画のノミネートが多い。固定ファンも多いが、恐らく票は割れるだろう。個人的に最も好みなのは『アネモネは熱を帯びる』。百合漫画という枠におさまらない青春マンガの快作だ。
考察⑦ 個人的イチオシは『ダイヤモンドの功罪』。ギフテッドの少年の物語で、特殊なスポーツ漫画といえる。幅広い読者層に支持されそうなこと、また新しいスポーツ漫画の金字塔になりそうな感触がある。恐らくすぐにアニメ化、ドラマ化されるレベルの作品。
考察⑧ ほかにも『ディノサン』『ラストカルテ』『ヤニねこ』『魔法少女・三十路』などは個人的には大好き。今回の上位ランクは流石に難しいかもしれないが、ぜひとも長く続いてほしい。低年齢層向けということで厳しいかもだが『運命の巻戻士』にはタイムループ漫画の未来を感じたので、ぜひとも上位ランクインしてほしい。
各作品レビュー
赤羽骨子のボディガード
【内容紹介】
奴らの狙いはただひとつ、赤羽骨子を殺すこと――。
錚々児高校3年4組・威吹荒邦はある日、クラスメイトで幼馴染の赤羽骨子が殺し屋から命を狙われていることを知る。そして彼に託された使命は、赤羽に知られることなく1年間守り抜き、無事に高校を卒業させること。こうして秘密のボディガード学園生活が始まった!しかし「3年4組」にはさらなる秘密があって……!?
新感覚コメディ学園アクション開幕!!
(引用:Amazon紹介文)
【レビュー】
設定が斬新で面白いです!
跡目争いで揺れるヤクザの組長の隠し子・赤羽骨子。命を狙われています。
赤羽骨子を守るために選ばれたのは、幼馴染の威吹荒邦だったのですがーー。
なんと、骨子のボディガードは荒邦だけではなく、骨子を除く3年4組全員がボディガードだった、という驚愕の設定。
しかもボディガードしていることは骨子にバレてはいけないというステルス要素も。
たかだか日本の組長の跡目決めのために隠し子を狙うわけないだろう!というツッコミはあるかもしれませんが、実は3年4組の中には裏切り者がいて……というミステリ要素も。
恋愛、サスペンス、ミステリ、どの方面でもクオリティが高い一作です。
あそこではたらくムスブさん
【内容紹介】
気になるあの娘は…コンドームの研究者!?
湘南ゴム工業株式会社で営業担当として働く砂上吾郎くん。
彼が密かに想いを寄せるのは、総合開発部のムスブさん。
そして、可憐な理系女子・ムスブさんが日夜研究しているのは、なんとあの…
「コンドーム」なんです!!
(引用:Amazon商品ページ)
【レビュー】
「コンドーム」という一言だけ切り取ると「普段の会話には出しづらい」「リア充がからかい半分で取り上げる」というイメージがありますが、もちろんコンドームにも製品開発のプロがいて、日夜使いやすさのために研究を続けています。
そんな研究者・近藤結さんと、営業企画室の若手男子・砂上が主人公。
コンドームの研究の様子が知的好奇心をくすぐるだけではなく、結さんと近藤の恋愛模様にも引きがあります。異色の理系漫画です。
『ラジエーションハウス』『あそこではたらくムスブさん』と2作人気漫画を生み出すモリタイシさんのファンも多そうですが、さすがに題材的に上位ランクインは難しいかも。
アネモネは熱を帯びる
【内容紹介】
不本意ながらも進学した高校で凪紗が出会ったのは病弱な少女 茉白。初対面であるはずの彼女は凪紗が受験に失敗した原因とも言える少女だった…。自分を変える為、凪紗は茉白を「好き」になろうと決意する。器用で不器用な少女が紡ぎ出す濃厚百合世界。
(引用:Amazon商品ページ)
【レビュー】
面白いです。百合漫画ですが、濃厚なラブシーンはありません。濃厚なのはドラマ。物語の構築力がめちゃくちゃあります。
主人公の受験失敗の原因となった少女が同級生に。ポジティブとネガティブ、正反対な二人が徐々に心を通わしていく過程は至高。
百合かどうかは関係なく良作です。だんだんとお互い触れあいたくなるドキドキ感もGOOD。
暗号学園のいろは
【内容紹介】
来たる世界大戦に備えて、暗号解読に長けた少女達が集う軍人学校。その名も『暗号学園』!! そんな高校とは露知らずに入学してしまったいろは坂いろはは、ひょんなことから学園生活を懸けた暗号バトルに巻き込まれることに…。苦戦するいろはだが、その手にはあらゆる戦争を停められる鍵が握られていて…!? 十五の少女達が、銃後で暗号を解く!! 奇想天外な学園ミステリードラマ、開幕!!
(引用:Amazon商品ページ)
【レビュー】
いずれ訪れる世界大戦の危機に備え、少女たちに暗号解読のスパルタ教育を叩き込む「暗号学園」。
女子ばかりのクラスに一人だけ配置された「どうでもいい男の子」が今回の主人公・いろは坂いろは。軍隊教育に辟易するも、何やら訳ありで逃走中の同級生・洞ヶ峠凍(ほらがとうげ・こごえ)を匿ったことから、ある特殊な眼鏡を手に入れる。彼の暗号解読成長ストーリーが始まりますが……。
最もストーリーを牽引する設定は、暗号学園の地下に隠れし500億モルグの財産の存在です。しかもこれが暗号資産という。まず設定からして面白い。
暗号の難しさから序盤は本誌での順位も低く、打ち切り間際に思われましたが、さすが西尾維新、盛り返してきました。
それどころかSNS人気は高まる一方。これはこれまでの「次にくるマンガ大賞」の傾向からして、今回は本作が大賞を取る気もします。
一ノ瀬家の大罪
【内容紹介】
一ノ瀬翼は、事故で記憶を失ってしまった中学生。無事に家族と対面するも、彼らも事故で全員記憶喪失になっていた。記憶を取り戻すために嘘の思い出話で絆を深めた翼たちだが、自宅に帰ってみると自分たちは思っていたような家族ではなかった事に気付かされ――!?
(引用:Amazon商品ページ)
【レビュー】
『タコピーの原罪』の「タイザン5」さん最新作です。評価の難しい作品です。
ホラーサスペンス作品なのですが、ミステリの要素もあり、序盤だけではまだ何とも言えません。ただ、家族全員が記憶喪失になるというプロットは抜群に面白く、みんながみんな自分が思っているよう人物ではなかったというズレが楽しいです。
しかし、展開のバリュエーションがどこまで増やせるのか心配ではあります。『暗号学園』より掲載順位は高いですが、個人的には『暗号学園』を推します。
運命の巻戻士
【内容紹介】
世界一わかりやすくて熱いループ漫画!
悲運の死を遂げた人々を救う組織、時空警察特殊機動隊、通称「巻戻士」!彼らの武器は右眼に埋め込まれたタイムマシン「リトライアイ」!事件を解決するまで何十回、何百回、何千回と時を巻き戻す! コロコロ45年の歴史上初のループ漫画、必見!
(引用:Amazon内容紹介)
【レビュー】
めちゃくちゃ面白くて熱いです。増えすぎた「タイムリープ」ものの亜種で、「コロコロ」掲載ということで、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のさらにわかりやすい版です。
時間を戻ってはミッションをクリアしていく……という毎話おなじ設定で提示されるのに毎話熱くなってしまうのは、エピソード選びがうまいからでしょう。まさか「コロコロ」でこんなにもハイクオリティなタイムリープ漫画が掲載されるとは。御見それしました。
踊り場にスカートが鳴る
【内容紹介】
桜ヶ森高校・社交ダンス部2年の春間ききは、「パートナー」(女役)として踊りたいと思いながら身長が高い自分に「合う役」である「リーダー」(男役)を続けていた。ある日、ききは幼馴染からペアの解消を告げられ、新しいパートナーを探すことに。…しかし、なかなか新しいペアは組めず、放課後に一人、憧れるパートナーのダンスを踊っていた。そんな彼女の姿を見た小柄で華奢な1年生・鳥羽見みちるは「私のパートナーになってください」と言って手をとり──
(引用:Amazon内容紹介)
【レビュー】
「物事はぜんぶ中身を見るまでは 本当の部分はわからないようにできてるんですよ」
好きなことを諦めたくなくて日々努力している二人の女子高生が出会い、学内の社交ダンス行事「カドリール」の代表を目指す物語です。
高身長で自分に自信が持てない春間ききと、小柄で芯の強い鳥羽見みちるの関係性が、みずみずしく描かれています。
社交ダンス界では、身長のある人が男役、華奢な人が女役をするという不文律があります。そうでないと見栄えが悪くなり不利なのです。
しかしこの二人は、その障壁を打ち壊し、本来の自分がやりたいことを選択していきます。
自分の衝動に正直でありたいと思わせる一作です。体のなめらかさや髪の流れから、登場人物たちの気持ちが伝わってくるような快作です。
カナン様はあくまでチョロい
【内容紹介】
【チョロかわ悪魔×天然ポジ人間の初恋ラブコメ♪】人間の魂を喰らうべく、人間界の高校に潜伏する女悪魔・カナン。一人の男子高校生に狙いを定めるが、気づけばなぜか恋人契約を結ぶことに!? しかし恋なんてしたことのないカナンには、未知な感情ばかりで…! 甘酸っぱい青春とギャグの嵐!! 純情アクマのチョロ可愛い初恋ラブコメ、始まります♪
(引用:Amazon内容紹介)
【レビュー】
素晴らしいクオリティの作品です。男性のキャラクター勝ちです。
女の子が「チョロい」漫画は数多ありますが、受け手の男性側が自分の欲を満たすためだけのモブキャラみたいな奴を採用しているのは珍しく、ウケます。笑えます。
単純にカナン様のリアクションがいちいち可愛く、「一応悪魔」という設定も適当な感じが好印象です。
河畔の街のセリーヌ
【内容紹介】
19世紀フランス――パリ。『月から来たような』少女・セリーヌは、自分が何をしたいのかもわからない14歳。“先生”の教えだけを頼りに上京したパリで、偶然出会った老紳士から”職業を体験する職業”を勧められ……?19世紀パリ風俗を美しく描写する少女職業探訪記、ここに開演――。
(引用:Amazon内容紹介)
【レビュー】
面白いーーめちゃくちゃ知的好奇心を刺激される一作です。
19世紀パリ風俗を、少女の目線で語ります。この少女・セリーヌが風変りな人で、笑うのが苦手、しかしそのマナコで周囲を観察するのは得意という設定です。
お針子、女中、百貨店販売員の補佐と、様々な職業を経験するなかで、市井の人々の暮らしや悩み、生き様を学ぶことになります。
著者があとがきに書いていますが、「印象派が描かれたパリ」の時代の空気感を丁寧に描写した一作です。
神さまがまちガえる
【内容紹介】
起きたら街がジャングルになってた、右を向いたら左を見てた、いつもの階段が一段増えてた……
周期性例外事象、通称”バグ”に満たされたこの世界では、そんなことは日常茶飯事。
シェアハウスの大家にして”バグ”に心躍らせる研究者のお姉さん・かさねと、
彼女とひとつ屋根の下で暮らしながら助手を務める中学生の男の子・紺は、
へんてこな世界で今日もおかしな一日を過ごします。
『やがて君になる』完結から2年――仲谷鳰が描く完全新作、待望のコミックス発売!
(引用:Amazon内容紹介)
【レビュー】
かなり斬新な設定の漫画です。通称”バグ”の設定の面白さにかかっています。
突然植物が生い茂りジャングルになったり、人が階段を登るように空をとべたり、左右反対になったり。
バグは何でもあり。そこに制限がないからこそ自由な描写が可能になり、読んでいてこちらも楽しくなってきます。
研究者のお姉さん・かさねだけがバグの影響を受けないという設定が、どこまで広がるのか。本筋のドラマ部分……いったいバグをどう扱うのか……の展開によっては面白さが変わってきそうな一作です。
君と綴るうたかた
【内容紹介】
人との接点を避けて生きている女子高生・星川雫は、誰にも見せずに執筆していた小説をクラスメイトの朝香夏織に見られてしまう。作品を嘲笑されると怯える雫だったが、小説を読んだ夏織からは全く予想していない感想が飛び出してきて…。物語を通してつながる少女二人の、甘く切ないひと夏だけの恋人ごっこ
(引用:Amazon内容紹介)
【レビュー】
1巻のラスト、予想だにしない展開が待ち受けます。
1巻~3巻あたりは、「カースト上位の女子が、無理やりな「恋人ごっこ」をコミュ障女子に仕掛ける」という無理な設定が目立ちますが、4巻以降はすんなり内容が頭に入ってきます。
絵は繊細で、主人公二人の書き分けもうまいです。今回候補になっているほかの百合作品に比べると、物語のクオリティ面で一歩劣るかもしれません。
君と悪いことがしたい
【内容紹介】
脇役と悪役が主人公の青春恋愛劇!!
誰からも見向きもされない脇役を見つけてくれたのは、
誰からも好かれない悪役でした。
脇役と悪役。
主役になれない二人の、
小さな反逆恋愛劇。
背は高いけど地味で暗い脇役女子・まもり。
嫌いだからとプールの水を抜く、
学校一の嫌われ者の悪役男子・藤。
悪いヤツの、不思議な強さに
惹かれていったその先にあったのは、
透き通るような青い日々。
(引用:Amazon内容紹介)
【レビュー】
脇役と悪役という主役になれない二人を主軸に据えるという設定が面白いです。
ただ、その脇役であるまもりが、もともと相当な美少女で、ちょっと髪型を変えたりするだけであっという間に光るので、そこは残念。脇役なら脇役らしいモブキャラを求めてしまいます。
もちろん精神性が脇役、ということなのでしょうが……。
悪役の男子高校生・藤の造詣は面白いのですが、学園一のイケメンである弟との関係性に終始してしまい、物語に広がりが生み出しづらいです。
きもちわるいから君がすき
【内容紹介】
“冬、親友のスプーンを舐める”親友である依子(よりこ)のことが好きな司(つかさ)は、今日も気持ちを隠して日常を送る。一方依子も司に対してトクベツな感情を持っているようで…?2話目から(いろんな意味で)話題沸騰のクソデカ感情百合漫画!
(引用:Amazon内容紹介)
【レビュー】
リーダビリティという点では今回の候補作中№1かもしれません。
親友である依子と司。この二人の関係性が、とにかく気持ち悪いです。特に依子。
お互いをLOVEしている二人なのですが、その気持ちは伝えません。伝えない代わりに、相手への想いが心で爆発しています。気持ち悪いほどに。
いったいどういう展開になるのか。ラストはどうなるのか。むさぼるように読みました。
視点がかなり雑で、誰が誰に喋っているのか、ほぼ二人しか登場人物がいないのにわかりづらいです。そこも、この作品の気持ち悪さの長所にさえなってしまっています。驚愕の作品です。
クプルムの花嫁
【内容紹介】
高校を卒業したてのギャル・しいなは
突然こんな言葉を鎚起銅器職人の彼氏・修(しゅう)に投げかけられた。
「結婚しないか――?」
血痕? いやいや、結婚です。
超うれしいけど、彼の家は職人一家!?!?
仕事とか歴史とかよくわからないけど、
大好きな彼のためにうまくやります! やってみせます!
愛のパワーとギャルの力で全部のりきるもんね~♪
新潟県・燕三条地域を舞台に繰り広げられる、
職人とギャルの、ちぐはぐだけどラブラブ婚約生活をお楽しみに!
(引用:Amazon内容紹介)
【レビュー】
面白い!
鎚起銅器(ついきどうき)の若手職人がギャルに告白する……という幕開け。題材は伝統工芸品で地味なのに、スピード感もあるし、知的好奇心も刺激されるし、これはなかなかの良作でした。
ギャル・しいなと若手職人・修という真逆な二人のコントラストがGOOD。特にしいなの若妻感は楽しく、なかなかない設定の一冊だと思いました。
極楽街
【内容紹介】
華やかな賑わいと深い闇が交錯する下町・極楽街――。この秩序なき街で“問題解決屋(トラブルシューター)”を営むタオとアルマ。2人の前に、失踪した獣人の友達を探す少年が現れる。跡を絶たない行方不明者と、動物たちの変死体――街を闇が覆う逢魔が時、“解決屋”の別の顔が顕になる!! 人を襲い食らう異形を滅する超スケール活劇(アクション)、開幕!!
【レビュー】
一目でジャンプ作品とわかるビジュアルです。ということはかなりクオリティが高い。「D.Gray-man」の影響を感じさせる絵と設定です。
化け物「禍」(死体を蘇らせ造られる)と、その敵を退治する問題解決屋。
亡くなった人間が「禍」となり敵になるということで、基本的には人情話になりますが、問題解決屋のユーモラスな言動に惹きつけられます。
ただ、テンポがゆっくりすぎて、バトル漫画のはずなのに日常漫画のような読み口です。
(引用:Amazon内容紹介)
サツドウ
【内容紹介】
製菓メーカーに勤めるごく普通のサラリーマン、赤森六男。ある日、残業を終えて帰宅途中、六男はオヤジ狩りをしている半グレ集団に遭遇。六男も因縁をつけられるが、武器を持った半グレ集団を一瞬で倒してしまった! 六男は伝説の殺法術「背神活殺流拳法」を受け継ぐ「赤森家」の子孫だったのだ! 平凡なサラリーマンが歩む、血と格闘にまみれた物語が、いま始まる!
【レビュー】
王道であり邪道をいく格闘技漫画です。何より素晴らしいのは主人公のキャラクター造詣。
普通のサラリーマンが実は最強殺し屋マシンでした、みたいな話はよくありますが、本作の主人公・赤森は、どこか気が抜けていてよく冗談も言う、でも伝説の武闘家としての顔を見せると誰よりも強い。このギャップが素晴らしいです。
最強なのに、普通にお菓子メーカーの企画会議に出席し(社員だから当たり前ですが)、とんでもない企画を提案してしまう。チャーミングです。
バトルそのものの描写も凝っていて、作者は格闘技のことをよくわかっている人のはず。
(引用:Amazon内容紹介)
人造人間100
【内容紹介】
“理想の人間”を追い求め造られた100体の人造人間! 彼らは理想の肉体(パーツ)を欲して人を襲い、不老長寿の一族を惨殺した。生き残ったあしびは、将来肉体を渡す代わりに彼らを殺すよう人造人間No.100と契約し――!?(引用:Amazon内容紹介)
【レビュー】
敵の大将がヒロイン兼ラスボスという、まさかまさかの設定です。新しい。
サブキャラクターに至るまで丁寧な感情描写がされていて惹きこまれます。バトル漫画ではありますが、どちらかというとバトルに至る過程やバトル後の感情のほうが楽しめます。
敵が約100体いるという設定ですが、ちょっと物語の広がりが見えないのが難点。でもでも、10巻以下で終わらせれば良作になると思います。ちょっとファンタジックな世界観も〇。
すだちの魔王城
【内容紹介】
勇者が魔王を倒し、世界は平和になった――にもかかわらず、道具屋・すだち屋を営むムラビトは困っていた。平和すぎてお客さんが全然来ないのである! このままでは閉店まっしぐら‥‥ そんな時に現れた少女の正体は、死んだはずの魔王で‥!?
[勇者も魔王も村人も、みんな平和になった世界で悩んでる――笑って、泣ける、熱いファンタジー&コメディ!!]
【レビュー】
面白い!!RPGな世界観なのですが、なんとすでに魔王は倒され、平和が訪れているという設定。旅立ち専用の道具屋が舞台で、主人のムラビトの前に、死んだはずの魔王(美少女)が現れます。
魔王無きあとの世界という目新しさだけでなく、勇者が鬱描だったり、ムラビトと魔王が結ばれたりと、奇想天外な出来事が次々に起こります。
設定の新しさとは反対に、画力はかなり高め。コマ割りもキャラデザもうまく、これはヒットしているのも頷けるクオリティです。
生徒会にも穴はある!
【内容紹介】
この生徒会の面子ときたら、あほの子だったり、恐ろしかったり、むっつりだったり、ちょっと変! でも、それがなんだか、妙に可愛く思える今日この頃……。ちょっぴり天才なむちまろが描く、世界一キュートでえっちな日常4コマ!
【レビュー】
この作品、なんと「週刊少年マガジン」にて連載中なのです。少年誌にしては攻めたタイトルと作風で、そのギリギリ感に痺れますが、魅力はそれだけではありません。学園モノとしても一級品の漫画です。絵の巧さ、ラッキースケベ具合……『ToLOVEる』の後継現れました!
ネット上での話題度も相当高く、Amazonレビューも多いです。上位にきそうな予感がします。
ダイヤモンドの功罪
【内容紹介】
「オレは野球だったんだ!」 運動の才に恵まれた綾瀬川次郎は何をしても孤高の存在。自分のせいで負ける人がいる、自分のせいで夢をあきらめる人がいる。その孤独に悩む中、“楽しい”がモットーの弱小・少年野球チーム「バンビーズ」を見つける。みんなで楽しく、野球を謳歌する綾瀬川だったが…。
【レビュー】
あらゆるスポーツの能力が万能な少年が、野球と出会うことから物語は始まります。
特出したIQや能力をもつがゆえに、周囲との関係性を構築できず悩む人も多いという「ギフテッド」。
本作は「ギフテッド」が直面する困難を、真正面から取り上げた作品です。
スポーツ漫画界に新風起こす傑作です。すぐにアニメ化もされそうで、今回も上位ランクインは固いと予想します。
多聞くん今どっち!?
【内容紹介】
木下うたげは大人気アイドル・F/ACE(フェイス)の福原多聞くんを推している高校生。ある日バイトで向かった先が、なんと多聞くんの家だった! しかも、多聞くんの本性はセクシー&ワイルドなアイドル姿とは真逆の、ジメジメ陰キャで…?「多聞君は神!!」 「復唱して下さい」どんな姿であれ、多聞くんは多聞くん。自己肯定感が低い彼を、全力でサポートすることに! しかし、ジメジメの多聞くんにもきゅんとしてしまい…?オンオフ激しめ×新しすぎる推し活ラブコメ、開幕!
【レビュー】
俺の横で 俺を推せよ
引用:『多聞くん今どっち!?』
きゃーーーーーーーーーー。
多聞くんかっこよすぎる。
度陰キャとスーパーアイドル、二面性がある多聞君のキャラクターが可愛すぎますね。
ヒロインの木下うたげの恥ずかしがり方が昭和の少女漫画チックで、現代的なアイドルの多聞君とのギャップもいいです。
「言われなくても推し変なんかさせねぇよ」といったとてつもないイケメンセリフがバシバシ決まる少女漫画です。セリフがうまいなぁ。
月出づる街の人々
【内容紹介】
透明人間、狼男、ドラキュラ、メドゥーサ、ナーガ、ミイラ男、フランケン。異なるモンスターの少年少女たちが、友情、恋愛、家族について考え、悩み、そしてお互いを理解しながら成長していく。同人誌で発表されて話題となった4編に、新作の2編を加えて待望の単行本化。月明かりがモンスターたちを優しく照らす、オムニバス。
【レビュー】
めちゃくちゃ面白いです。キャラクターのチョイスが絶妙!
冒頭、人間から狼男に自然に変身する場面の自然さ、違和感のなさ。
人間と変異が共存している社会が描かれますが、変身するのは動物だけではなく、ドラキュラやフランケンやナーガなど、多種多彩。精霊からモンスターまで登場します。
それぞれが自分の身体的特徴や能力に疑問を持っていて、それが友人との関係の中で優しく解消されていきます。
変異は人間社会であぶれている人のメタファー。静かに心を照らす超良作です。
白眉はやはり狼男の恋愛かな。
紡ぐ乙女と大正の月
【内容紹介】
令和から、大正の女学校へ転入!?ある日地震で気を失ってしまい、目覚めた時には大正十年の銀座に倒れていた女子高生・紡。行くあてもなく大ピンチなところを公爵令嬢・唯月に助けられ、彼女とともに女学校生活を送ることに。遠く離れた時代に流れ着いた少女の未来はどうなってしまうのか…?きららキャラットで大人気連載中の大正タイムスリップストーリー。
【レビュー】
意外や意外、重厚なドラマ作品なだけに4コマなのがもったいない!
情報量が多いので若干読みづらさを感じました。
タイムスリップものはよくありますが、大正時代の女学校に女子高生が転生という内容がキャッチーで面白いです。
現代の制服も大正時代の制服もフェティシズムを感じさせるように描かれていて、画力もあるので映えます。
友情と百合、そして学生時代に歴史学を学んでいたという著者の大正観が十二分に表現されていて面白いです。
ディノサン
【内容紹介】
1946年にとある島で生き残りを発見。その後、繁殖や遺伝子操作によって、現代に再生されることとなった恐竜。圧倒的存在として人々を魅了してきたが、ある“事故”がきっかけでブームはすっかり下火に。そんな中、経営難の恐竜園「江の島ディノランド」に新人飼育員の須磨すずめが入社し――。「もしも」を叶える、恐竜飼育物語開園!
【レビュー】
ストーリーの斬新さ、物語と画力双方の説得力。
抜群に面白い「恐竜飼育漫画」です。
もし恐竜が現代に蘇ったら……というストーリーラインは有りがちですが、本作の主軸は、恐竜の飼育員に焦点をあてているのこと。
飼育員を描くことで、恐竜の生態や、ステレオタイプな恐竜へのイメージの変化を描き出すという構図です。
「次にくるマンガ大賞」の大賞をとってもおかしくないハイレベルな作品です。
転生王女と天才令嬢の魔法革命
【内容紹介】
「魔法があるなら、空を飛べるのに…」
パレッティア王国の王女・アニスフィアは、
幼少期にふとそう思ったのをきっかけに、前世の記憶を思い出した。
時は流れ――。
前世の知識を活用した独自の技術「魔学」を編み出したアニスフィアは、
自らが開発した魔女箒のテスト飛行中、偶然にも
あらゆる魔法を使いこなす天才令嬢・ユフィリアが
公衆の面前で婚約破棄を受けている現場に遭遇してしまう。
傷つき、涙を浮かべるユフィリアの姿に、アニスフィアは――。
「さて行こうかユフィリア嬢、私が攫ってあげる!」
【レビュー】
ソフト百合の漫画です。
魔法を愛した人物が魔法を使えない……。だから「魔法科学」という分野を研究します。
面白い設定ですねぇ。
主人公はシリアスな状況に置かれますが全編コメディぽさがあるので安心して読めます。
ちょっと説明過多な部分が気にはなりました。
人気ラノベのコミカライズですね。
ニラメッコ
【内容紹介】
2021年7月TVアニメ放送「うらみちお兄さん」の作者・久世岳の最新作!!若手お笑い芸人の水吉令は、相方の朝木和も含めた芸人5人でシェアハウス中。「ただ、お前を笑かしたいだけ」。その純粋な相方への情熱をネタに込めて、水吉は今日も舞台に立つ―。若手芸人たちの生き様を描く青春グラフィティ!!
【レビュー】
世にお笑い漫画はたくさんありますが、大成功例はこれまでにないです。
やはりお笑いを絵で描写するのは本当に難しいです。
お笑い漫画のほとんどが総じて「売れない漫画家」を書きますが、本作もそれに倣います。
どうしても漫才やTVロケでの発言が現実のテレビの芸人さんより面白いとは思えず……。
しかし売れないお笑い芸人がさらされるバッシングや完全スルーなど、辛い部分はうまく描写されています。
シェアハウスに暮らすお笑い芸人たちというのが新機軸ですが、いきなり登場人物が多いので若干戸惑いました。
画の魅力は大きくて、なんだかんだ2巻以降も買いました。
めるめた
【内容紹介】
おバカ人造人間のくるみ、そのイカれた保護者のちあき、クール系笑い上戸のさきな、唯一の常識人(?)なしゆきは、くるみを改造したり、くるみを猫かわいがりしたり、意味もなく駄弁ったりと、毎日楽しく高校生活を送っています。新進気鋭の次世代作家こかむもが贈る、「きらら4コマ」の新たなる境地!
【レビュー】
なんというシュールな4コマ漫画なのでしょうか。
確かに新時代の日常系漫画な趣があります。
改造したり、ひたすら増殖したり、何が起きているか意味不明ではありますが、描かれる女性キャラクターがとにかく魅力的でキュート。
画力のわりにぶっ飛んでいて、このアンバランスな感じが好印象な一作です。
バーサス
【内容紹介】
天敵“魔族”の台頭と侵攻により、人類が虐げられ続けて数百年。
世界は“大魔王”と、その配下である47体の“魔王”により支配されていた。
人々は怯えて暮らしながらも、世界中から選び抜かれた47人を“勇者”と名付け、魔王軍に対抗すべく準備を進めていた。
そして今、人類の存亡を懸けた決死の作戦が始まろうとしていた―――。
【レビュー】
『ワンパンマン』の原作・ONEの新作。
発想が面白すぎる……。
ありきたりになってきたマルチバースや異世界要素を逆手にとって、各々の次元で人類を滅ぼそうとしている「天敵」同士を争わせるという。人類が「試合に負けて勝負に勝つ」を実現する物語です。
敵キャラクターの魅力があふれ出していて、収拾がつくのかわかりませんが、いまちょっと盛り下がっている『ワンパンマン』よりは確実に面白い内容です。
ばっどがーる
【内容紹介】
(自称)不良高校生、風紀委員長にコヒュらされる日々!?※「コヒュ-る」【動詞】…驚きやときめきによって息がコヒュッとなる。風紀委員長・亜鳥に憧れ、気を引きたい一心でなぜか不良を目指すことにした高校一年生・優。しかしワルくてカッコいいところをアピールするはずが、天真爛漫で人たらしな亜鳥の言動に小動物のごとく翻弄される…!?ぜんぜん悪くない不良少女の学園4コマ。
【レビュー】
面白い!ギャグが冴えています。
著者のセンスを感じさせます。
好きな先輩に振り向いてもらうために不良ぽくふるまう優谷優。
彼女の行動がいちいち面白く、また富貴委員長の亜鳥や周囲のキャラクターもとても魅力的。
「女郎のような女……」とか爆笑しちゃいました。
候補作のなかで4コマ作品はいくつもありますが、本作は№1ですね。
春と嵐のモンスター
【内容紹介】
危険すぎる義弟ができました。春野嵐子はできるだけ他人と関わらず、空気のように生きていたい高校一年生。母の再婚相手が連れてきた息子・天峰栢は、街中で人を投げ飛ばすタイプのモンスター中学生だった!どうやら栢には事情があるようで…?日常が非日常に変わる、凸凹義姉弟ストーリー開幕!
【レビュー】
再婚相手が連れてきた相手が「イケメンでした/同級生でした」ものは数多くあり、その系譜です。
令和の時代に、娘の都合も考えず中3男子の連れ後を認める主人公の母親の感覚はあまりに旧時代的で疑いますが、ジャンル漫画ですので突っ込んでも仕方ありません。
この義姉弟関係が結構斬新です。
どちらもぼっちを愛するという。
ボッチだけど人を気遣える嵐子と、友達はいるけど実は一人きりの栢。面白いバディなのですが、どうしても恋愛に繋げていく方向ですので、それは個人的にはちょっと微妙。もし恋愛に繋がらなけば一気に評価は上がるのですが。
ブレス
【内容紹介】
元モデルの宇田川アイアは、メイクアップアーティストになる夢を持っていたが、周りから否定されることを恐れて夢を諦めていた。
ある日アイアは、顔のそばかすを隠すように背中を丸めている大人しい女の子・炭崎純と学園祭のコンテストに出場することになった。衣装・ヘアメイクを担当するスタイリスト役とモデル役の2人1組でランウェイを歩くコンテストで、アイアは炭崎にメイクをすることに。炭崎とのやり取りの中で教室では見せない魅力を炭崎に感じたアイアは、メイクで炭崎の魅力を引き出し学園祭に挑む。
【レビュー】
メイクアップアーティストと女性モデルの成り上がり物語です。
イケメンでモデルだけどメイクアップに興味があるアイアと、そばかず顔がコンプレックスだけど意外にポジティブな炭崎純。
この二人の描かれ方のバランスが良いです。
メイクアップをアクションとして描くのは難しいと思いますが、きちんと魅力的な対立候補を用意し、いざモデルを輝かせるという流れは見ごたえがあります。
画も物語もなかなかのクオリティな一作です。
平和の国の島崎へ
【内容紹介】
寄生獣の岩明均推薦!
幼少期に国際テロ組織LELに拉致され、戦闘工作員となった男・島崎真悟。
30年の時を経て組織からの脱出に成功した彼は、故郷である日本に帰ってくる。
島崎は新天地で“平和”な暮らしを手にできるのか--。
戦場と日常の狭間で生きる男のアクション譚、開幕!
【レビュー】
浦沢直樹を彷彿とさせる画や構図です。
アクションがわかりやすい!「ザ・ファブル」よりもアクション描写はうまいと思います。
なかなかシビアな設定ですが、そこに日常系の雰囲気を合わせることで成立しています。
主人公・島崎が再び戦地へ赴くまでのカウントダウンが効果的。
日常に戻ればもちろん市井の人々と関わることになるわけで、巻き込まれないかヒヤヒヤするのも一興です。
マグロちゃんは食べられたい!
【内容紹介】
マグロが大好きで堤防釣りが日課の少女・みさきの元に、キハダマグロから変身したという少女・まぐろがあらわれた!マグロに伝わる掟により、自分を釣り上げた「運命の相手」であるみさきに(物理的な意味で)食べられようとするまぐろと、それに振り回されるみさきとの新感覚お魚コメディ!
【レビュー】
今回の候補作の中で設定のぶっ飛び具合は上位3位に入ります。
釣ったマグロが人間でした。
じっとしていられないとかマグロ的特徴あります。
人間に食べられたがっていますが、人間が人間を食うような構図になってしまうので食えません。
じゃあ仲良く一緒に過ごすか……
みたいなギャグマンガです。
何をどう思いついたらこの設定に。何のメタファーなのかもわかりません!!
(別種族でも仲よくしよう?)
人間とマグロの考え方や文化の違いを楽しむ一作です。
魔法少女♡三十路
【内容紹介】
女にとって体裁は命。三十路独身の保守ようこは目立たず幸せにを信条に生きて来たが、ある日突然魔法少女の姿に変身させられ敵と戦わされるハメに…体裁を誰よりも気にする女の悲哀に満ちた誰得なヒロイックギャグコミック!
【レビュー】
別記事にまとめていますが、まぁー面白いです。(感嘆のまぁ)
マンガでこれほど笑ったのはいつぶりだろう。
こんな歪で現実的な「魔法少女」は見たことがありません。
アイデア勝ちで終わるのではなく、終始ギャグが冴えていて著者の筆力を感じさせます。
帝乃三姉妹は案外、チョロい。
【内容紹介】
天才三姉妹と一つ屋根の下。
天才三姉妹を変えていく…
同居ホームラブコメディー開幕!!
孤高の天才三姉妹と同居することになった
ちょっとポンコツめな高校生・優。
平凡以下な彼が三姉妹に振り回されると思いきや…
この三姉妹、案外、チョロい――?
優との生活で変わっていく三姉妹の心模様。
才色兼備の三姉妹が動揺、狼狽、そしてときめく…
一つ屋根の下で送る、天才凡才交わる恋と家族の物語。
【レビュー】
凡人男が天才・帝乃三姉妹と共同生活をするというプロットです。
三帝は学校では完璧(宝塚感)ですが、家では意外にグダグダ。そのコントラストで魅せていきます。
この三姉妹の砕けた表情がめちゃくちゃ可愛いです。
この歪な4人の関係が「家族」になるまでのお話。
面白いです!!
ヤニねこ
【内容紹介】
Twitterでなんか結構バズッてる、ヤニ吸うねこのマンガ。
マナーやモラルなんて関係ねえ!クズねこの送るヤニまみれでお下品な日常をご覧ください。
一応、妹とか普通にかわいいキャラもでてくるから!
単行本でしか見れない貴重な喫煙シーンとかたぶん描くんで、予約してくれたらありがてーにゃ(笑)
【レビュー】
ひ、ひどすぎる……いい意味でふざけすぎています。
ウンチしないとタバコが吸えない猫女が主人公です。
あの手この手でタバコを吸います。
とにかく吸います。
部屋はヤニだらけ。
アパートのまわりはヤニだらけ。
ヤニ友達だらけ。
ライターの火がないからおならで火をつけようとします。
この作品は絶対読んだ方がいいです。楽しいです。
雪解けとアガパンサス
【内容紹介】
文武両道でファンクラブまで存在する女子校の王子(プリンス)、夏月(なつき)。
憧憬の眼差しを受けながらも、何だか満たされない日々を送っていた……。
そんな彼女のもとに、転校生の春(しゅん)がやって来る。
今までの生徒たちとは違い、夏月を王子様扱いせず、「友達」として接する春。
夏月は初めての「友達」に違和感を抱きながらも、
その無邪気な笑顔と明るい性格に心がときめいていき…?
【レビュー】
画力はまだまだな印象ですが、誠実でストレートなソフト百合ものとして楽しみました。
よくある展開ではありますが、だからこそ安心して読むことができます。
中盤で突然〇〇する展開には驚きましたし、展開が早そうなのが好印象です。
黄泉のツガイ
【内容紹介】
山奥の小さな村落に住む少年のユルは、野鳥を狩り、大自然の中で静かに暮らしていた。しかしユルの双子の妹のアサは、何故か村の奥にある牢の中で「おつとめ」を果たしているという。それはまるで幽閉されているかのように…。穏やかな村に浮かぶ不自然な謎、この村に隠された秘密とは一体…!?未曾有のツガイバトルここに開幕!!
【レビュー】
べらぼうに面白いです。別れた双子を軸に物語は進みます。
飛びぬけたクオリティのアクション、そそられる謎、迫力のある異能、通り一遍ではない悪役、魅力的なキャラクター。
流石としか言いようがないクオリティです。
時代背景を見せてからのファンタジーや現代の融合と手際がよすぎます。
これは大本命だと思います。
ラストカルテ ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―
【内容紹介】
泣ける 法獣医学ミステリー
高校生の当麻健匠は、とある事件をきっかけに『法獣医学』を知る。
同級生で獣医を目指す茨戸爽介と友となり、動物たちの感情を想像していく。
これは、動物たちの魂を紡ぐ物語だ。
そこに確かに存在した、魂の“重さ”――
迫真の法獣医学ミステリー、開幕。
【レビュー】
あっという間に実写ドラマ化されてもおかしくないクオリティの作品です(と言っても主人公が高校生だと著名俳優は使いづらいでしょうが、ジャニーズあたりに)。
この漫画は相当面白いです。法獣医学とは法医学の動物版。つまり対象は動物。これが涙を誘うのです。
カラスの不審死は社会的メッセージが込められていますし、猫の天寿の全うの仕方には泣けてしまいます。
興味のあるものはすべて覚えてしまう当麻と、武骨だけど心を許したら一気に近づく茨戸爽介のバディ感が素晴らしい一作です。
龍とカメレオン
【内容紹介】
「熱い!」「面白い!」の声、続出!!複数メディアでも話題の漫画家バトル、待望の第1巻!!天才漫画家・花神臥龍。彼を病的に羨む無名漫画家・深山忍。不慮の事故により二人の身体が入れ替わってしまい――!?最強のルーキーとなった漫画中毒の”龍”が灼熱の漫画業界を駆け昇る!!超絶怒涛の漫画家バトル、開幕!!!
【レビュー】
また「マンガのマンガ」に快作が一つ追加されました。外連味溢れまくる展開に胸が熱くなること間違いなしの一作。
天才人気漫画家と超性格悪い漫画家が入れ替わり。お互いが成り代わって作品を成立させていきます。
どうしても展開に広がりが見えないのですが、元に戻る、戻らない以外の展開が生まれてくれば長期連載もありえる一作です。
終わりに
「次にくるマンガ大賞 2023」全作品レビュー&大賞予想をお送りしました。
40作品すべて読めてよかった!なぜならどの作品もハイクオリティで面白かったからです。
最大の脅威驚愕は「ヤニねこ」。こんな露悪的で汚い作品が現代で成立するというおかしさが最高でした。さて大賞に輝くのは!
どうも、グルリンゴ(@entame13423)でした。
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