こんにちは。漫画大好き編集者のグルリンゴ(@entame13423)です。
本記事では、2023年に刊行された漫画(1巻限定)の中から特に面白いと思った漫画12作品を紹介します。
2023年上半期が終わりましたが、今年は傑作揃い!
冗長にならないよう、サクサクと紹介していきます。
最近流行りの漫画が知りたい!新刊漫画の何がおすすめか知りたい!という人はぜひ一読してみてください。
恐らくアニメ化やドラマ化されるのではないか……と思う快作・傑作が揃っています。
2023年発売の漫画おすすめTOP12
第1位 テレワァク与太話
2023年5月発売。1巻完結。
『あせとせっけん』の著者・山田金鉄さんによる最新作『テレワァク与太話』。
とてつもないクオリティの短編漫画です。1巻完結の短編としては完ぺきな出来で、2023年を代表する一作です。
主人公は三橋残(みつはしのこる)と泉奈津(いずみなつ)。隣人同士の二人です。二人の出会いのきっかけが「テレワーク」。三橋残の職業はSEで、テレワーク勤務を命じられたことから、自宅部屋の作業環境を見直します。
部屋を片付けるなかで、段ボールから昔よく読んでいた漫画が出てきます。三橋残は、自分がファンタジー漫画が好きだったことを思い出します。「モデルとなった国があると知ったときは、大人になったら行ってみたいと幼心に憧れたものでした」。そう、仕事に忙殺されていた三橋残は、テレワークがきっかけで、過去の人生の軌跡を辿ることになるのです。そうして自分仕様に作った異国情緒あふれるバルコニーがきっかけで、隣人の泉奈津と知り合います。
完璧すぎる冒頭。テレワークである必然性がありますし、それが恋愛ドラマの冒頭にも繋がっています。そして二人の淡い恋模様からのクライマックス。凄い焦燥感とスピード感です。これはぜひ読んでいただきたい。素晴らしい結末、しかもその結末もまた、コロナ禍だからこそ何倍にも感動が膨れ上がる展開なのです。面白いーー!
第2位 くりことびより
第1巻が2023年8月発売。
めちゃくちゃ良質な漫画です。ある里子を迎えたことから物語は始まります。疑似家族から「疑似」を取れていくお話です。お菓子作りを絡めつつ、3人家族の日常を描きます。
過剰な説明描写はなく、出来事によって長束夫妻のこれまで、くり子のこれまでを浮かび上がらせます。うまい!!
いわゆる「疑似家族」。しかし「疑似」という冷たい表現はこの家族には似合わないかもしれません。それぞれがトラウマを抱えつつも、本物の「家族」になるまでの物語です。
第3位 ダイヤモンドの功罪
第1巻が2023年6月発売。
今あらゆるスポーツの能力が万能な少年が、野球と出会う『ダイヤモンドの功罪 』。
特出したIQや能力をもつがゆえに、周囲との関係性を構築できず悩む人も多いという「ギフテッド」。本作は「ギフテッド」の少年が直面する困難を、真正面から取り上げた作品です。
「ギフテッド」である主人公の存在は、周囲を混乱させます。本来はその能力を活かしてもらうべく動くべきなのに、嫉妬や憎悪の感情が周囲には芽生えます。もしくは、ギフテッドを利用してやろうという姑息な大人の気持ちも。
新しいスポーツ漫画の傑作です。
第4位 タワマンに住んで後悔してる
2023年6月発売。1巻完結。
タワマンに住むのがこんなにも恐ろしいのかと震え上がる一作です。
3つの家の視点を通して、タワマンに憧れることの滑稽さや、階層マウントを取る人間の醜悪を描きます。そしてタワマンを選ぶ大人の精神性が、やがて子供を無理やりに受験やスポーツへと誘導する悪魔的思考へとつながっていきます。
本作の白眉は最後の一文です。この一文の切れ味だけみても、著者の筆力が伺えます。
そこにはタワマンを通り越した、人間の真理が書かれています。
第5位 魚と水
2023年5月発売。1巻完結。
田亀源五郎先生の作品を初めて読んだのですが、めちゃくちゃ良い作品でした。
友達以上恋人未満の二人の人間の関係性がどうなるのか……。普遍的な恋愛漫画の設定ですが、本作は秀逸です。何が秀逸って、設定と会話です。
著者の、主人公二人の対する眼差しが……優しい?フラット?どういう言葉で言い表すのが適切かわかりませんが、二人の生活を、なんてことのない日常として描写しています。
この二人の会話は、物語上の嫌らしさ、作者のご都合設定のようなものが感じらません。すでに冒頭から恋の蕾が花開く雰囲気もありつつ、著者は急がず丁寧に二人の関係を紡ぎます。そしてラストに訪れる展開。痺れました。あぁ、この二人の会話をずっと見ていたいと思ったら、1巻完結。潔いです。
第6位 氷の城壁
1・2巻が2023年6月に発売。
縦読みマンガ(ウェブトゥーン)から紙のコミックが発売という異例の作品です。
著者の阿賀沢紅茶さんは、青春マンガの期待の星です。『正反対な君と僕』のみならず、全く異なるテイストの『氷の城壁』まで描いてしまうのですから、本当に凄い。
今作の最大の特徴は「自分が思っている自分と、他人が思っている自分とのギャップ」を描いたことに尽きます。主人公の氷川小雪は、周囲に壁を作っているように見られるものの、その実、話してみるとフランクで接しやすい女子です。
ギャップを抱えた4人が友人同士になるところから物語は始まります。そして化学反応が起きます。この青春模様がめちゃくちゃ面白くて、リアルで、涙腺を刺激するストーリーなのです。
全頁フルカラーということで、服装一つとってもその人物のキャラクター性がわかるのは利点。そして縦読みマンガを横読みマンガに置き換えていますが、これが違和感がありません。今後、縦読みから横読みへ、という形式がスタンダードになってくるかもしれません。
第7位 すこしだけ生き返る
第1巻が2023年6月に発売。
異色の中年健康ストレッチ漫画です。あなたがやっているストレッチ方法に一工夫加えたら、めっちゃ効きますよ!!ということを教えてくれる健康漫画。『孤独のグルメ』の健康版……めちゃくちゃ面白いです。
一見気難しそうな風貌の主人公の弁護士・間敏郎。その実、ただただ「平等」を目指す、素直なだけで依頼人思いな弁護士です。もう40歳を超え、肩こりや猫背に悩んでいる間は、積極的にストレッチを試みます。
しかしなかなか良くならず……。
そんなとき、事務所のアシスタントの女性・山村さんに、「もっと効果的なストレッチ」の方法を教えてもらいます。
第8位 スルーロマンス
第1巻が2023年7月発売。
大傑作『まじめな会社員』の冬野梅子最新作『スルーロマンス』。恋愛脳のフランク女性と、奥手で恋愛下手な女性の共同生活を描きます。
冬野さんの描く恋愛ドラマは、リアルすぎてへこみます。が、やはり面白いのです。特に顔面偏差値が中途半端な人物の感情表現が半端ない。。
恋愛観が両極端な二人が共同生活をしたらどうなるのか。「愛のない人生のえぐみ」を感じている女性二人の物語です。
第9位 赤い隣人
2023年2月発売。1巻完結。
著者の前作『今朝もあの子の夢を見た』と表裏一体の作品です。『赤い隣人』がA面でわかりやすいエンタメ作品に仕上がっているとしたら、『今朝もあの子の夢を見た』はB面で実験的な要素が含まれた作品。後者はあえて描かないことに徹していましたが、前者はその余白を埋めるかのように全てを曝け出して描いています。
今作は「自覚のない虐待」を題材にしています。難しい題材です。なぜなら「自覚のない」様子を描くのに相当な筆力が必要だからです。しかし著者は完璧にやってのけています。
いわゆる「イヤミス・コミックエッセイ」(私はこの呼称は好きではないですが)と呼ばれる著者作品の中でも、全てのバランスが取れた一作です。
第10位 問題のある保育園
2023年6月発売。1巻完結。
子供を持つご家庭は絶対に読むべき一冊。
過重労働、低賃金、人手不足……。保育士の苦境を起点に、保育園で巻き起こるトラブルを描きます。職場に「困った人」がいたらどうすればよいか。そのアンサー的作品でもあります。
半分エッセイ、半分フィクションということですが、子供を保育園・幼稚園に預ける家庭からすると、とにかく恐ろしい作品です。読んでいて胸がキューーッとなるので、覚悟を決めて読んでください。
第11位 リーマンミーツホスト
第1巻が2023年7月発売。
やばい。この漫画好きすぎる。尊い。美少年好きリーマン(あくまで崇めるのが好き)と美形ホストが出会う。本当に、あくまで崇めることが好きなのは伝わってくる。
これはBLではなくて大人の友情。リーマンの愚直さがホストを救う。現代的な、都市部的な、リアルな「孤独」を描いた作品だと思います。
大人の友情は成立するのか。孤独は解消されるのか。続きが楽しみな一作です。
第12位 メンヘラ製造機だった私が鼻にフォークを刺された話
2023年7月刊行。1巻完結。
メンヘラ彼氏が、彼女の鼻にフォークを刺してしまう、という話なのですが……物語は予想だにしない方向に進んでいきます。
ショッキングな描写があるので注意。血とかドバドバ出るので、耐性が無い人はスルーをお勧めします。正直、読んでいて具合が悪くなる場面もありましたしかし、読んで得られるものは多い作品です。ぜひ一読いただきたい気持ちもあります。
「この体験を漫画にする、それが私の復讐です。」このキャッチコピーの真意。何と爽快な読後感!
2023年発売の漫画おすすめTOP12 まとめ
本記事は「2023年発売の漫画おすすめTOP12」について書きました。
2023年もまだまだ前半。これからも良作が登場してくるはずですので、面白いマンガがあったら追加していこうと思います。
どうも、グルリンゴ(@entame13423)でした。
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