こんにちは。漫画大好き編集者のグルリンゴ(@entame13423)です。
今回ご紹介するのは、子供たちの絆を「経済格差」や「家庭環境」が引き裂く衝撃的な漫画『望まれて生まれてきたあなたへ』です。
赤ちゃん遺体遺棄事件から1週間 なぜ幼い命を救えなかったのか?思いがけない妊娠、居場所のない妊婦に必要な支援とはーーHBC北海道放送
5月17日、北海道南部の北斗市で、赤ちゃんの遺体を遺棄した疑いで母親が逮捕されました。
私はこのニュースを聞いて、『望まれて生まれてきたあなたへ』のことをすぐに思い浮かべました。
あなたが幼かった頃、家は貧しかったですか。
それとも裕福でしたか。
生きやすかったですか。
死にたくなったことがありますか。
例えどんな環境にいたとしても、自分と他人を比べては自分の境遇を嘆いていたのではないでしょうか。
本作には二人の女性が登場します。
お金はあるけど家は厳しい。
お金はないけど自由はある。
この二人は小学生時代に親友でしたが、成長するにつれて疎遠になります。
その疎遠の先に待つ決定的な破滅。
新生児を公園に埋めるという非道がなぜ行われてしまったのか。
その心理に丁寧に迫った作品です。
きっと誰もが、小中校時代の隣人を思い出すはずです。
一つの気遣いが人を救っていたかもしれません。
『望まれて生まれてきたあなたへ』ネタバレ
個人的星取
☆4.2 人は生まれながらにして格差がある。
Amazon星取
2024年5月27日
☆:4.5
レビュー数:122
作者紹介
●やまもとりえ:鹿児島県出身のイラストレーター。
長男(天パ)、次男(貫禄)、4つ年下の旦那さん(なで肩)、猫のトンちゃん(ガリガリ)と大阪でのんびりと暮らしている。著書に『Aさんの場合。』『Aさんの恋路。』『お母さんは心配症!?』『今日のヒヨくん』『本当の頑張らない育児』『30歳女子、ネコを飼いはじめました。』『ねこでよければ』『わたしは家族がわからない』『わたしが誰だかわかりましたか?』『うちらはマブダチ』などがある。
Twitter @yamamotorie
Instagram @rinpotage
(引用:Amazonn内容紹介)
あらすじ・概要
わたしにとってあなたは、かけがえのない友達だったよ。
産まれたばかりの赤ちゃんを母親が埋める新生児遺体遺棄事件。そんな悲しい事件の犯人は、幼い頃に親しかった友人だった。
タイムラインに流れる事件の見出しと、感情的なコメント。あの頃、たしかに幸福な日々を送った「わたし」と「あなた」は、いったい何が似ていて、何が違っていたのか? 切なく儚い人生の断片を描く、渾身のセミフィクション。
『わたしは家族がわからない』『わたしが誰だかわかりましたか?』に続く、やまもとりえ最新作。
【あらすじ】家族から継いだ個人病院に勤務する小児科医のまどかはある日、母親が産まれたばかりの赤ちゃんを埋める新生児遺体遺棄事件が近所で起きたことをニュースで知る。テレビ画面に映る、無表情で疲れ果てた様子の容疑者の女性――それは、まどかが幼い頃に親しくしていた友人ののぞみだった。公園を走り回ったこと、夏にスイカを食べたこと、可愛い女の子の絵を描いたこと、東京で一緒に暮らす約束をしたこと……。まどかは、かつて幸福な毎日を過ごし、やがて少しずつすれ違い、別の道を歩んでいった2人の記憶を蘇らせるのだった。
【解説】
村井理子(翻訳家・エッセイスト)
(引用:Amazon内容紹介)
感想・評価
悲劇の裏側にある、逃れられない境遇
【主要登場人物】
川畑のぞみ……完全放任主義の家庭に育つ。貧困家庭の子ども。
31歳のとき、死亡した女児を公園に埋めたとして死体遺棄の疑いで逮捕される。
福永まどか……裕福だが教育熱心や厳しい母親のもと育つ。美人で勉強もできる。
死体遺棄事件のニュースを見つめるのは
死亡した女児を公園に埋めて遺棄したとして
引用:『望まれて生まれてきたあなたへ』
職業不詳川畑望容疑者(31)を死体遺棄の疑いで逮捕した
容疑者は容疑を認め
遺棄したのは「自分のこどもだ」と話している
女児は生後まもない新生児で
目立った外傷はなかったという
小児科医のまどかは、死体遺棄事件のニュースを見て、その容疑者の顔を見て、あるひとりの少女のことを思い浮かべます。
それは小学生時代に親友だった、一人の少女のこと。
対照的な家庭に生まれた二人の親友
小学生時代、のぞみとまどかは親友でした。
公園で一緒に遊び、お互いの家に行き来をしてお絵かきを一緒にする。
そう、小学生の頃までです。相手の家柄や貧富の差など気にせず遊ぶ年代は。
まどかの母親は、教育熱心な厳しい人で、まどかがのぞみと遊ぶことを快く思っていません。
次第に、母親はまどかに習い事や塾などの負担を強いるようになっていきます。
一方のぞみは、完全放任主義の母親に育てられ、自由ではあります。
この自由さを、まどかは羨ましく思っています。
裕福だけど窮屈という描写がとても上手で、まどかの焦燥感にはリアリティがあります。
まだ小学生では、自分が恵まれた境遇にいるとは気づけないのです。
のぞみとまどかは、境遇は違えどお互いをリスペクトしあい、将来は東京で二人で住むという約束まで交わします。
一方のぞみは
その後まどかは、母のスパルタ教育の甲斐あり、中学受験に成功し、中高一貫の私立中学に入学します。
友達はみな頭が良く、容姿も優れていて、のぞみはすぐにハイソな環境になじみます。
そのころ、のぞみはヤングケアラーになりかけていました。
無責任な母親が、どこの誰ともわからない男の子どもを身ごもり、その世話の一切をのぞみに任せてしまうのです。
のぞみは、中学生にして妹ができ、またその世話をしなければならなくなりました。
日本において、小学6年生の約15人に1人は「家族の世話をしている」という調査結果があります。
参照:日本総研「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」
ヤングケアラーになってしまうと、学業や部活、趣味に打ち込むことができなくなり、次第に心身ともに疲弊していきます。
本作でも、のぞみは授業中の居眠りを繰り返し、中学3年生のときに不登校になります。
一度はデザイナーへの夢を見たのぞみですが、妹が成長するにつれて、その夢も諦め、なんとかして妹を底辺から抜け出させようと必死に働くことになります。
人は自分本位
中学以降、二人は疎遠になります。
それでも、まどかは人生のターニングポイントでのぞみのことを思い出します。
そして会いに行きます。
まどかはのぞみの環境のことを心配しつつも、今の自分の人生をなんだかんだ楽しんでいて、まどかのことをそこまで深く考えてはいません。
これは人間誰しもそうだと思います。
自分本位で当たり前なのです。
隣人が困っているとして、手を差し伸べられるか。
よほど慈愛の精神を持っていないと難しいものです。
しかし。
私は思うのです。
まどかの姿を見て。
私は、一歩でも半歩でも、踏み込んで相手のことを思いやりたいと。
想像力を持って相手に接したいと。
この漫画は、その反面教師の役割を果たしてくれているのです。
なぜ死体遺棄したか
時は流れます。
まどかは31歳のとき、自分が産んだ赤子を公園に遺棄します。
彼女は妊娠したことを誰にも伝えていませんでした。
それはなぜか。
その理由を知ったとき、いかにまどかが追い込まれていたのかを私たちは知ることになります。
あまりに悲しい理由なのです。
涙します。
生まれた環境がもたらす悲劇。
じゃあ貧困家庭に生まれたら一生負け組なのか。
否、それは周囲の人間の考え方によると、私は思うのです。
辛い作品ですが、一読の価値は絶対あります。
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終わりに
今回は『望まれて生まれてきたあなたへ』をご紹介しました。
近年、赤子の死体遺棄事件が本当に多いです。
それも、大体は女性の犯行です。
なぜそんな悲劇が生まれてしまうのか、それを考えるいったんになる作品です。
どうも、グルリンゴ(@entame13423)でした。
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