【独裁国家への強烈な風刺】『サバキスタン』【ネタバレ】

サバキスタン 漫画

こんにちは。漫画大好き編集者のグルリンゴ(@entame13423)です。

今回ご紹介するのは、架空の独裁国家「サバキスタン」を舞台に描く『サバキスタン』です。

ロシア人漫画家二人による本作。描かれたのはウクライナ進行前。しかし本作を読めば、いかにしてロシアがウクライナ進行に舵を振り切ったのか。ソ連がどんな国だったのか。独裁国がいかにして人民掌握してきたのか。その歴史がみえてきます。

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繊細で緻密、そして愛くるしいイラストに隠された、社会主義国の秘密!

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『サバキスタン』感想(ネタバレ)

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個人的星取

4.3 人々の暮らしが垣間見える。

Amazon星取

2023年8月14日 
☆:5.0
レビュー数:2

作者紹介

作:ビタリー・テルレツキー
画:カティアト
訳:鈴木佑也
以下、本作の編集者による記事の著者紹介がわかりやすいです。

あらすじ・概要

永らく国境を閉ざしていた謎の独裁国家「サバキスタン」はある日、国境を開放した。偉大なるサバキスタンの栄華を世界に伝えるため、世界各国のジャーナリストたちが招かれた。その日、同国では全国民から敬愛を受ける国父、リーダーである「同志相棒」の葬儀のリハーサルイベントが行われようとしていた。サバキスタンの工場に努める女性・ハーモニーもその名誉あるイベントへの参加を許されたひとり。彼女は喜びと誇らしい気持ちを胸に会場となるスタジアムへと向かった。
同志相棒に招かれた世界的ジャーナリストのアンリ・パスカルもまた、宮殿内で同志相棒から歓待を受けていた。すべてが豪華絢爛で見事に設えられた奇妙な空間の中、アンリ・パスカルはふと戯れに、庭にある一本の木の枝を折ってしまう。その木は若き同志相棒が植樹した神聖なものであり、それを傷つけることは大罪であった…。
架空の独裁国家における不自由や弾圧、陰謀、歴史の改ざん。そして人々の真実を求める心、抵抗、愛する国への願い――。迷える大国・ロシアから届いた、自由の意義を問いかけるアンチ独裁グラフィック・ノベル!
(引用:Amazon内容紹介)

感想・評価

【主要登場人物】

同志相棒……サバキスタンの指導者。国では、彼の葬儀のリハーサルが行われている。

ハーモニー:孤独な一人暮らし。普段は工場で働く。

アンリ・パスカル:ジャーナリスト。サバキスタン開国をきっかけに国を渡る。

タデウス・ブォルクコウスキー:才人だがヴォルク出身であるため学校でいじめられている。

素晴らしい作品です。ロシアから届けられた本作は、(日本の過去を鑑みても)日本人にも読まれるべき内容になっています。

本作が何より素晴らしいのは、独裁国家による圧政の中にも、市井の人々(犬々)の生活が垣間見えることです。

ロシア(ソ連)でも北朝鮮でもトルクメニスタンでも、社会主義国でも独裁国でも、その土地に生まれ住む人々には日常があります。


本作の冒頭、アパートに暮らす「サバキスタンを愛する」ハーモニーという女性のもとに、住人のブルカおばさんが洗面器を持ってくるところから始まります。

そして工場勤務のハーモニーは、同志相棒の葬儀のリハーサルに参加するため、トラムに乗り会場に向かいます。予定時間に遅れてしまいそうなハーモニーの焦燥が伝わる場面です。

独裁国家に暮らす人々がみな、独裁に気づいているわけではありません。もしくは、気づいていても何もすることはできず日常を過ごすしかない。

ハーモニーの孤独な一人暮らしは、物語終盤、急展開を迎えることになります。


独裁者側の描写もユーモラスです。同志相棒が住む「友好の家」には、同志相棒用の「金の便器」が設置されています。思わず笑ってしまいました。

親愛なる我らが同志相棒は脚を上げられるのです

「サバキスタン」より

各国の首脳・ジャーナリストの目が点になっています。貧困にあえぐ市民を後目に、独裁側はこれでもかという馬鹿らしい金の使い方をします。


同志最高司令官が登場します。独裁側ながら、今の状況を憂いている。そして彼女は、ある人に出会い、歴史が動きます。

国を力で吸収する弊害が、タデウス・ブォルクコウスキーに現れています。サバーカ人ではないことから学校でいじめられるブォルクコウスキー。先生すら差別に加担します。人種差別が悪いことという教育を受けられない子供たちは、自分と異なると思ったものをいじめます。反省もしません。負の連鎖。


同志相棒は、子供たちの合唱団を利用してある企みを用意していました。反抗するレジスタンス。しかし、独裁者の考えは思ったよりも狂っていたのですーー。

1巻ではサバキスタンの市民の日常や、同志相棒の狙いが見えてきます。

全3巻とのこと、続きが早く読みたい!!

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終わりに

今回は『サバキスタン』ご紹介しました。

今読むべき一冊なのは間違いないです。ロシア人著者の危機感は、日本にもストレートに伝わるはず。

どうも、グルリンゴ(@entame13423)でした。

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編集歴15年以上。大学卒業後、出版社に就職。雑誌や漫画、ビジネス書などの編集を経験。これまで手掛けた作品は50作以上。

幼少期から本に囲まれる生活を送る。年間の読書量は漫画100冊、書籍30冊程度。映画の鑑賞本数は年間100~200本程度。自分が「これは面白い!」と思った作品を(押し付けがましくないように)人にオススメするのが生きがいで、このブログを始めました。

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