【気持ちを運ぶ】『夜逃げ屋日記』【ネタバレ】

夜逃げ屋日記 漫画

こんにちは。漫画大好き編集者のグルリンゴ(@entame13423)です。

今回ご紹介するのは、DVパートナーや毒親、虐待から逃れたい人々の引越しを手伝う業者「夜逃げ屋」。その内実を描く『夜逃げ屋日記』です。

今年読んだコミックエッセイで一番の衝撃作でした。

「夜逃げ屋」に就職した著者の壮絶な体験(ほぼ実話)が描かれていますが、著者や「夜逃げ屋」社長・社員の言動がどこかユーモラスで、辛いけどどこか笑える……絶妙なバランスの一作です。
「ザ・ノンフィクション」を彷彿とさせる一作になっています。

グルリンゴについて


★出版社での編集者歴15年以上。漫画、ビジネス書などの編集を経験。
☆年間の読書量は漫画100冊、書籍30冊程度。映画の鑑賞本数は年間150本程度。
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☆「これは面白い!」と思った作品を人にお勧めするのが生きがい。

『夜逃げ屋日記』感想(ネタバレ)

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個人的星取

4.5 知られざる民間団体の活躍

Amazon星取

2023年6月23日 
☆:5.0
レビュー数:5

作者紹介

宮野シンイチ:Twitterは以下の投稿から。漫画家志望で連載を目指すもなかなか掲載に至らず、あることがきっかけで「夜逃げ屋」で働くことに。

あらすじ・概要

特殊な引越し業者「夜逃げ屋」で働く作者が描く、衝撃のコミックエッセイ!

“夜逃げする人ってどんな人だろうと思ったけど…実はどこにでもいるようなワシらと同じ普通の人なんだ…”

夜逃げ屋とは、DVをするパートナーや毒親などから逃げたい人々の引越しを手伝う業者。
外からは普通に見える家庭でも、一歩踏み入れると見えてくる衝撃的な現実を、実際に夜逃げ屋で働く作者がリアルに描くコミックエッセイ。

漫画家を目指すもうまくいかず、何が描きたいのかわからなくなっていた作者、宮野シンイチ。ある日、TVで見かけた夜逃げ屋という仕事と、そこを取り仕切る女社長の漫画を描きたいと思い取材を申し込む。
取材当日、夜逃げの現場についていき、手伝うことになった宮野。壮絶な現場を目の当たりにした後、社長の鶴の一声で夜逃げ屋に就職することに。
夜逃げ屋として働く人の視点から、夜逃げをする人達が抱えている苦しみや葛藤を描く。

Twitterで掲載された話の他に、夜逃げ屋の女社長が経験したエピソードや、本編の裏話を描く夜逃げ屋雑談などの描き下ろしを45ページ以上収録し書籍化。

(引用:Amazon商品紹介ページ)

感想・評価

これまでの「夜逃げ屋」のイメージとは異なる

めちゃくちゃ面白かったです。

誰にも知られることなく、人生をやり直したい。そんな「訳あり」な人を対象とした、特殊な引っ越しや「夜逃げ屋」。
夜逃げと言えば、多額の借金をこさえた人が返済できず、誰も見ていない深夜に逃亡……というイメージが強いですが、本作は違います。
DVや虐待などから逃げ出したい人を救済する民間団体「夜逃げ屋」の話です。

仕事先は壮絶な現場

著者はテレビで「夜逃げ屋」の女社長のことを知り、体験漫画を描くために職場に飛び込みます。
実際に仕事をしてみると、現場は壮絶。
1件目はDV被害者の妻。夫は妻に様々なルールをかしている。

入浴の際、水温が41度以下なら掃除からやり直し。
電話は2コール以内に出ないと家から追い出される。
食事中に音を立てたら食事抜き……。
常に行動は見張られ、妻はストレス性の味覚障害に。

なんと、今回は夜逃げの現場に夫もいるという。しかも昼間。
業者としても依頼者としても怖い状況ですよね。。そこで著者は加害者の夫に絡まれそうになるのですが……。

被害者と向き合う

著者は、「なぜこんな夫と結婚するのか」「なぜすぐにそこから逃げないのか」など、働く中で疑問に思いますが、それが難しいことを実際に被害者と向き合うなかで学びます。

女社長自身、元夫のDVで顔をつぶされた被害者でした。
しかし逃げられなかった。逃げたら報復されると思ったから。
そうして著者は何件も夜逃げ屋の仕事をこなすことになります。

36歳にして毒親にマインドコントロールされている男性。
表向きは人格者の夫に暴力をふるわれる妻(36)と息子(14)。

などなど。本当に壮絶な状況なのですが、「夜逃げ屋」の面々の「余計なことに首は突っ込まない距離感を保つ。でも誠実に。親切に」というスタンスが伝わってきて、それが著者にも伝染し、最終話では「戦車」をきっかけにDV被害者の息子と心を通わします。胸にグッときます。

細かい描写が光る

細かい描写に光るものがあります。デフォルメがうまいというか。
例えば加害者のパターンを描写する際に、海の中のモンスターが指輪を餌に女性を誘いこもうとしている場面や、マトリョーシカの中に蜂(=暴力性)が隠れているところ。

被害者の救済を「パン」で表現するところ。
家の呪縛から逃れられない壮年の状況を「像と鎖」で表現するところ。

題材のスリリングさ

「夜逃げ」という題材のスリリングさ、被害者の置かれた状況の過酷さ、著者が慣れないなか成長していくというユーモラスな成長譚。

とても素晴らしいコミックエッセイでした。

『夜逃げ屋日記』お得に読む方法

私が調査した結果、以下の方法が最もお得です。

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終わりに

今回は『夜逃げ屋日記』をご紹介しました。

「ザ・ノンフィクション」好きなら絶対楽しめる一冊です。
ぜひご一読ください!

どうも、グルリンゴ(@entame13423)でした。

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漫画や映画などエンタメ作品に取り憑かれた編集者です。

編集歴15年以上。大学卒業後、出版社に就職。雑誌や漫画、ビジネス書などの編集を経験。これまで手掛けた作品は50作以上。

幼少期から本に囲まれる生活を送る。年間の読書量は漫画100冊、書籍30冊程度。映画の鑑賞本数は年間100~200本程度。自分が「これは面白い!」と思った作品を(押し付けがましくないように)人にオススメするのが生きがいで、このブログを始めました。

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