【婚活アプリの地獄と天国】野原広子『さいごの恋』【ネタバレあり】

さいごの恋 漫画

こんにちは。漫画大好き編集者のグルリンゴ(@entame13423)です。

今回ご紹介するのは、老いゆく前に最後の恋を追い求めた46歳の女性を描く『さいごの恋』です。

作中で描かれる婚活アプリの様相は正に地獄。
主人公は騙され、騙され、その果てにある男性と出会います。
果たして恋のラストチャンスは成就するのか……とかいう生易しい物語ではありません。

グルリンゴ
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野原広子作品ですが、読後感はかなり良い!!

しかし主人公に対する描写が容赦ないのが流石。

グルリンゴについて


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『さいごの恋』ネタバレ

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個人的星取

4.0 婚活アプリの地獄と天国

Amazon星取

2024年10月28日 
☆:4.8
レビュー数:13

作者紹介

●野原広子……イラストレーター。2021年『妻が口をきいてくれません』『消えたママ友』2作により、第25回手塚治虫文化賞「短編賞」受賞。作品に『娘が学校に行きません』『離婚してもいいですか』『今朝もあの子の夢を見た』『赤い隣人』など。

あらすじ・概要

累計23万部(紙・電子)のロングセラー『妻が口をきいてくれません』(第25回手塚治虫文化賞短編賞受賞)の著者が、独身中年女性の実像と心情に迫るコミック。

西村清美46歳、教師、結婚歴なしの独身。
忙しく仕事をするうちひとり暮らし歴を重ね、ろくに恋せず嫁がず産まずこの年齢に。
この先もひとりで生きていくのだろうと思っていたところ、長年同居していた愛猫は旅立ち、更年期を迎えて体調が不安定となり、孤独な将来に不安を覚え始める。
これまでひとりで一生懸命生きてきた自立した自分が好きだったけれど…。
私の人生、これでよかったのか。
これからも、このままでいいのか。
そして、誰かを好きになったり好きになられたりすることも、この先一切ないまま一生を終えるのだろうか。
ヨガ教室の知人は44歳で再婚し、ヨガの先生は高齢でも恋人の存在が。
恋も結婚も考えていなかったけれど、「マッチングアプリ」に登録したことから、清美の日常にさざ波が立ち始める。

以下、各20話タイトル。

第1話 44歳の再婚/第2話 枯れてる女/第3話 子なし孫なし/第4話 理想の男/第5話 いいね!のふたり/第6話 46歳の汗と涙/第7話 恋愛市場価値/第8話 人生詰んだ/第9話 遠くに行きたい/第10話 できるできない/第11話 試してみませんか?/第12話 ひとつの希望/第13話 その人、大丈夫?/第14話 必ず返すから/第15話 なにが残る?/第16話 これからもひとり/第17話 どこまでが本当?/第18話 このまま死んでもいい/第19話 大事なことは話してない/第20話 カツオじゃなくて

(引用:Amazon内容紹介)

感想・評価

目をそらし続けてもいつかやってくる「恋をしなければ」という焦燥

【主要登場人物】

西村清美……46歳。教師。更年期の症状に悩む。知り合いの紹介でマッチングアプリを始めるが…。

佐和子……48歳。清美の高校の先輩。ちょっときつい性格だが人想い。

カツオ……48歳。「サザエさん」の波平のような容姿をしている。実直で温和な性格。

枯れた人生を過ごす

主人公の清美は、ヨガ教室の知り合いで44歳のヒロミに彼氏ができたと聞いて焦る。
それを聞いて、突然体が暑くなる。
教師として学校で働く中でも、少し注意されたりミスをすると体が暑くなる。

清美は自分が更年期障害だと気づく。
汗が止まらない。

そう、ちょっとした気持ちの変化であっという間に体が制御できなくなる感じがリアルに描かれていて、私にもよくわかる。私も似たような症状に日々困っているから。

清美の愛猫のカツオはつい最近亡くなった。彼が清美の心の支えだった。

外圧により焦りが生まれ婚活アプリの道へ

高校の先輩の佐和子は、夫も子供もいるけど、毎日が辛そう。
夫婦仲は明らかに悪い。佐和子は「結婚しているけど恋がしたい」と清美に愚痴る。
そう、未婚だろうが既婚だろうが、この作品に出てくる女性は枯れている。

ヒロミが清美に婚活アプリを勧める。
ヒロミにそそのかされた清美は、アプリに手を出す。

アプリに登録した瞬間、顔写真も出していないのに次々に男性からアプローチが来る。
アプリ初心者の清美は、中年女性の自分でも需要があるのかも?と思ってしまう。

顔とか望まないとか思いつつ……

清美は、若いイケメンや、身長や年収が一定の水準を満たしている登録者に惹かれてしまう。

清美が第一に選んだのは、40歳のイケメンだった。
そのイケメンとのメッセージのやり取りにハマってしまう。
楽しい、楽しい。この人とは気が合うのかもしれない。

40歳イケメンは、清美の話をちゃんと聞いてくれる。

清美はある日、夢を見た。
40歳イケメンと花の咲く公園を一緒に歩く夢を……。

そのころ、清美は汗が出なくなっていた。
ホットフラッシュがなくなっていた。

恋は、彼女の体調さえも変えた。

ワサコさんに会いたいな

ある日、40歳イケメンからメッセージが届く。

清美に会いたいと。ワサコとは清美のハンドルネームです。

他の中年男性からのアプローチがあったが、とにかく清美はイケメンに猛烈に好意を寄せていた。
清美はイケメンに会うことにします。

そして間に合わせ場所についた清美だったが……。

何が起きたか、わかりますよね。

現実を知る

時は流れます。

清美の結婚相手の条件は
・年齢は上下5歳差まで
・身長は自分より小さくない人
・年収は自分より多い
・イケメンだったら嬉しい

こんな糞みたいな理想を掲げていました。

ヒロミが指摘します。「現実見てください」と。

わかっていても高望みしてしまうこの感覚は100%共感です。
客観的に自分の容姿や年収など見られないんですよね、

磯野カツオに出会う

さてここから中盤戦です。

清美は、マッチングアプリを続けていました。
そこで、清美の心身を気遣う一人の男性・カツオと知り合います。

そしてある海辺の町で、二人は会います。

そこに現れたのは、アプリの写真とはまるで違う、剥げて顔もよくない小男でした。

清美はカツオと出会い、人間の本当の優しさに触れます。
人は顔だけではないことをようやく知ります。

しかしカツオはある日、清美に金の無心をするのでした……。

ここから予想外の展開が待ち受けています!!

主人公がしっかり嫌な奴

野原さんの凄いところは、主人公をしっかりと嫌な人として描いているところです。

清美は世間知らずです。
これまでの恋愛経験不足から、マッチングアプリでは常に高望みをして騙されます。
そもそもマッチングアプリのハンドルネームは「ワサコ」。つまり先輩の名前・佐和子をもじって始めているのです。

自分の容姿レベルもわかっていなから、顔写真を送ってぶっちされたらキレます。

そして初対面のカツオのことを残念に思い「今の私にお似合いなのはこんな男」とまで言い切ります。

カツオと仲良くなってから、清美の学校の生徒に二人でいるところが見られたとき、清美は二人の関係がバレないように、カツオを介護しているようなふるまいをして誤魔化します。最低です。最悪です。

そんな嫌な人だから強烈にリアルなのです。人間味があるのです。

このあたりの人物造詣が素晴らしいのが野原作品の真骨頂です。

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終わりに

今回はさいごの恋』をご紹介しました。

恋とは何か。何を基準に人を見定めるべきなのか。
それを深く考えるきっかけになる一作です。

どうも、グルリンゴ(@entame13423)でした。

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グルリンゴと申します

漫画や映画などエンタメ作品に取り憑かれた編集者です。

編集歴15年以上。大学卒業後、出版社に就職。雑誌や漫画、ビジネス書などの編集を経験。これまで手掛けた作品は50作以上。

幼少期から本に囲まれる生活を送る。年間の読書量は漫画100冊、書籍30冊程度。映画の鑑賞本数は年間100~200本程度。自分が「これは面白い!」と思った作品を(押し付けがましくないように)人にオススメするのが生きがいで、このブログを始めました。

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